CANONメディカル主催 全国医療機関画像コンテスト The Best Image 2013
選考部門 1.5テスラ以下MR部門
a:dualTEの合成画像
b:dualTEの合成画像斜位MIP像(左)
c:dualTEの合成画像斜位MIP像(右)
使用装置
EXCELART Vantage Powered by Atlasシリーズ(1.5テスラ)
検査目的
腰部痛のため腰MRI検査を依頼された。
テクニカルコメント
3D-FE法のミエロでは血管が高信号となる。MPGを印可したFSBB法を用いた場合、shortTEでは背景信号が上昇しコントラストの低下が、longTEではS/Nの低下が懸念される。dualTEかつMPGを印可できるHOP-MRA法を用いることで、S/NがよいshortTEと背景信号と血管信号を抑制したlongTEの画像を同時に取得できる。 両者を合成させることでコントラストとS/Nを改善できた。
クリニカルコメント
FASE法を用いたheavyT2Wl系のミエログラフィでは、水成分を強調しているためだけなので神経根の情報までは分かりにくい。3D-FE方を用いることで神経根をしっかりと描出できている。
画像コメント
a | dualTEの画像を合成し、重みづけでTE19.0の画像としている。S/Nを保ちながらBlackBloodライクな画像となっている。 |
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b | 造奇形のある左神経根に沿った斜位MPR像。5mm間隔でMIPを行った。 |
c | 対側の正常な右神経根に沿った斜位MPR像。5mm間隔でMIPを行った。 |
審査員コメント
conjoined nerve rootが明瞭に描出されている。シーケンスの特性を理解し、適切に応用されている点が理解できる。
選考部門 1.5テスラ以下MR部門
a:VR像画像
b:HOP-MRA法(1st TE)
HOP-MRA法(2nd TE)
使用装置
EXCELART Vantage Powered by Atlasシリーズ(1.5テスラ)
検査目的
CTにて頭頂部左側に腫瘤を認めたためMRIを依頼された。
処理内容
造影後のHOP-MRAの1st TEはthin sliceの画像として使用し、MPGを印可しBlack Bloodとなる2nd TEの画像から腫瘤と全脳の抽出を行った。
1st TEと2nd TEのsubtraction画像から静脈を抽出し、それぞれVR像画像を作成・合成を行い最終的な3D画像を作成した。
テクニカルコメント
3D画像を作成する場合に腫瘤と脳表の区別や血管の抽出に時間がかかる。また抽出を容易にするために、複数のシーケンスを撮像すると総撮像時間が延長する。HOP-MRAを撮像することで、1つのシーケンスで3D画像を容易に作成することができた。
クリニカルコメント
大脳鎌左側・上矢状洞に接する箇所に、T2Wlで低信号および造影で著名な高信号を示す腫瘤を認める。
3DのVR像画像では腫瘤と血管の位置関係が分かりやすく表示されており、手術前の情報として有用である。
画像コメント
a | VR像画像、腫瘤と血管との位置関係が分かりやすい。 |
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b | 造影後のHOP-MRAの1st TEの画像。thin sliceの画像として使用できる。 |
c | long TEながら病変部は高信号に造影されている。この画像から腫瘤と全脳の抽出を行った。 |
d | HOP-MRA subtraction画像。この画像から血管のみを描出。病変部がやや高信号に残ったのは、long TEでの信号低下によるものと思われる。 |
審査員コメント
1st TEと2nd TEのsubtraction画像から静脈を抽出する等、2echoの画像をうまく利用して腫瘍と血管の関係を描出した点が評価できる。