CANONメディカル主催 全国医療機関画像コンテスト The Best Image 2011
選考部門 1.5テスラMR部門
a:頸部MRA(3D-TOF MIP)
b:TOF元画像(右)、MPR(左)
c:非同期Black Blood T1 W.I.(Flow-Spoiled FBIシーケンス)
d:非同期Black Blood T2 W.I.(Flow-Spoiled FBIシーケンス)
使用装置
EXCELART Vantage Powered by Atlas(1.5テスラ)
検査目的
頭部MRIにて強い動脈硬化を認めたため、頸部MRAを含め精査を依頼された。
テクニカルコメント
Flow-Spoiled FBI法のdephaseパルス+35とフロップ角60°を用い非同期にBlack Bloodとした。
TRを固定できるためT1 強調像ではプラークが良く描出できるTRとした。T2 強調像では低フロップ角だとT1コントラストの影響により、一般的なTEではプロトン強調像に近くなる。
TEを153msecと延長させることでT2コントラストをつけ、通常のT2 強調像のコントラストに近づけた。
クリニカルコメント
頸部MRAで左頸動脈分岐部の内頸動脈側に高度狭窄を認め、不均一な信号のプラークも認める。
Black Blood T1 強調像では、同部に高信号を認め、Black Blood T2 強調像においても同部に高信号を認めた。
T1強調像・T2強調像ともに高信号であり出血を伴う不安定プラークが疑われる。
画像コメント
a | 左頸動脈TOF法MRAのMIP像。内頸動脈側に狭窄が認められる。 |
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b | 向かって右側がMRA元画像。左側が左頸動脈MPR像で、矢状断にMPR像を行った。内頸動脈側の狭窄部位に不均一な内部構造のプラークが認められる。 |
c | 非同期Black Blood T1 強調像。中央が元画像で両側がMPR像。左内頸動脈側にMRAに一致して高信号プラークを認める。非同期なのでプラークと筋肉のコントラストが良いTRに固定できる。 |
d | 非同期Black Blood T2 強調像。中央が元画像で両側がMPR像。こちらでもMRAに一致して高信号プラーク認める。低フロップ角によるT2コントラクト低下の影響をTEを延長することで補った。 |
審査員コメント
FBI法シーケンスのパラメータをうまく設定して、非同期でT1コントラストとT2コントラストのBlack Blood MRAを得ている。
使い慣れたFBI法に的確なアレンジを加えプラークを明瞭に描出した斬新な使い方といえる。
広い臨床現場で再現性よく安定して撮れることを期待したい。