CANONメディカル主催 全国医療機関画像コンテスト The Best Image 2017
Clinical Update賞 受賞
選考部門 3テスラMRI部門
肝腫瘍~同期撮像が困難な事例
a:自由呼吸器下UTEによる肝ドーム下画像
b:自由呼吸器下UTEによる肝門部画像
c:自由呼吸器下UTEによる肝ドーム下画像
d:呼吸同期不良 肝ドーム下画像
使用装置
Vantage Titan 3T
検査目的
検診超音波検査にて、肝右葉に30㎜の肝腫瘍を認めた。他の腫瘍性病変の描出も含め、EOBを用いた造影MRI検査を施行。被験者は高齢のため息止め撮像が困難であった。肝細胞相を呼吸同期併用で撮像したが検査時間に対する疲労と咳き込み等により診断可能な画像描出が困難であった。非同期法にて診断に有用な肝細胞相を得るための方法を考えた。
テクニカルコメント
非同期による3D脂肪抑制T1WIを得るため、FFE法におけるUTE(TE=0.093ms)を用いた。撮像時間の延長と画質劣化を避けるため、TRは最短3.6msとし、FAは最大値27度としてT1WIを得た。この時、k-space充填率20%、セグメント数は10とし画質の向上を図った。造影前では画質が悪いが、造影後はT1短縮効果により、画質の良い画像を得ることができた。
クリニカルコメント
ドーム直下の腫瘍はMRI検査前日の造影CT検査の結果から血管腫であった被験者の状態によって呼吸同期法でも診断困難な画像しか得られないこともある。今回の方法は被験者の状態に関わらず非同期にてEOB投与による背景肝の信号強度上昇による腫瘍部分のapparent washoutを描出することができる。本症例ではなかったが、小病変の描出が確実に行えるようになる手法だと考える。
画像コメント
a: 自由呼吸器下UTEによる肝ドーム下画像
b: 自由呼吸器下UTEによる肝門部画像
c: 自由呼吸器下UTEによる肝ドーム下画像
d: 呼吸同期不良 肝ドーム下画像
審査員コメント
UTEのサンプリング時間が非常に短い特性を活かし、モーションアーチファクトを軽減することができている。呼吸による影響を強く受ける横隔膜直下の肝区域を自然呼吸器下で明瞭に画像化できており、UTEの新たな適応が見出された。